次代を担う 意気!域!農業人(はるんちゅ)

2017.11.01

目利きも大事だが、一番は「良い牛を出すこと」。

5年後に掲げた目標「50頭飼養」に向け、夫唱婦随で奮闘中。

去る9月の全国和牛審査競技会で県勢初の優秀賞を受賞。そして長年闘牛界で名を馳せた祖父と、県畜産共進会で最高賞の農林水産大臣賞を受賞した父と三代続く牛飼いの申し子。夫婦で、家族で、学び合い、助け合い、語り合う、和牛繁殖を担う期待の農業人を紹介。

 

和牛繁殖に夫婦で挑戦

かわいい子牛とスキンシップ

 石川ICからうるま市に入る。「闘牛の里」として知られるこの地で、海沿いの市街地から内陸部に少し入った、同市石川伊波地区の牛舎を訪れた。手入れの行き届いた牛舎を涼風が心地よく吹き抜け、気のせいか牛の表情も穏やかに見えた。取材陣を迎えてくれたのは、長い茶髪を無造作に束ねた島袋愛里さん(28歳)と夫の康規さん(35歳)。仲睦まじく取材に応じてくれた。
 「結婚当初、旦那は建築業に従事していましたが、交通事故が原因でリハビリ療養中、当時和牛繁殖を経営していた父(安慶名米昭さん、52歳)の手伝いをしていました。その時に父から『一緒に牛飼いをしてみないか?』と誘われたのがきっかけで、今和牛繁殖を経営しています」
 康規さんの就農後、父米昭さんから「和牛繁殖を始めるなら夫婦で力を合わせたほうが良い」という後押しもあり、愛里さんは県立農業大学校に進学。1年間畜産を学び、家畜人工受精師やトラクターの運転免許なども取得した。
 最初は父から譲り受けた子牛から始まり、就農3年目の現在は母牛17頭を飼育し、今年に入っての子牛の出荷頭数は6、7頭とのこと。牛舎の周辺と市内の東恩納、天願地区などに牧草地も所有している。

 

 

祖父、父と三世代に渡る牛飼い

牧草刈りは康規さんの担当だ

 愛里さんの父米昭さんは平成25年、肉用牛の体型や発育などを競う県畜産共進会で、最高賞にあたる農林水産大臣賞を受賞するという快挙を成し遂げた。さらに愛里さんの祖父・米三さんは、長年闘牛の飼育に情熱を注ぎ、沖縄の闘牛界でその名を知られた人物だったという。牧場の入り口に掲げた「文三(ぶんぞう)牧場」は、祖父米三さんと祖母文子さんの名前にちなんだもので、父米昭さんが名付けた。
 牛に愛情を注ぐ祖父や父の姿を見てきた愛里さんが、幼い頃を振り返った。
 「昔は、大きくて怖くて、牛に近寄ることもできなかったです。でも刈り取った牧草を運ぶとか、できる仕事は手伝っていましたよ」
 そんな愛里さんは現在、牛の飼養管理や体調管理、母牛の発情確認などに日々余念が無い。康規さんは建設業での経験を活かし、牛舎の管理作業や牧草地の管理を行うなど、二人で大まかな役割分担はしているという。

 

自然と培われた「目利き」

父の米昭さんがレクチャー

 去る9月、5年に一度開催される全国和牛能力共進会(仙台市)で、愛里さんは和牛の目利き精度を競う和牛審査競技会の女性の部に出場し、県勢初の優秀賞を受賞した。以前から地元の共進会へ積極的に顔を出していたこともあり、家畜改良協会から推薦を受けて選出された。
 「競技では母牛4頭を目利きして順位付けし、さらに均称や資質といった項目別でも順位付けするんです。どれも似たような牛ばかりで難しい審査だったので、思いがけない受賞で驚きましたよ」と振り返るも、 「目利きは母牛の買い付けや、生まれた子牛を母牛として保留するときに欠かせないですからね」
 謙遜しながらも、少し自信をつけた様子を覗かせた愛里さん。もちろん日頃の努力の賜物ではあるが、幼い頃から牛を身近に感じ過ごしてきたという環境が「目利き」の原点なのかもしれない。
 「でも、私より旦那の方が目利きです。一人で鹿児島まで行って、競りで母牛を買い付けるんです。数百頭もいる中で一人で選ぶのは、簡単じゃないですよ」
 共同経営者である康規さんを認め、共に学び合う日々だ。買い付けでは目利きも大事だが、良い血統で揃えることも意識している。現在愛里さんの牛舎には、二人の目利きで選り抜きの牛が揃いつつある。

 

牛が好きじゃなければできない

飼養管理や体調管理に余念が無い

そんな愛里さんと康規さんの目標は、5年後に母牛50頭まで経営規模を拡大させることだ。現在、父米昭さんから譲り受けた牛舎の拡張工事に着手したところ。二人揃って朝7時から夜9時頃まで牛舎で過ごすそうだ。
 二人の牛舎にほぼ毎日訪れる、父米昭さんが話してくれた。
 「まず牛が好きじゃなければできない仕事だと思いますね。そして建築に例えると、設計から施工、管理まで全部自分でプロデュースできるのが畜産経営だと思うので、その点魅力はあると思います。それに夫婦二人だと、何かあったときに頼れる安心感もあると思います」
 愛里さんが改めて目標を話してくれた。
 「確かに牛の〝目利き〟は欠かせない技術です。でも一番大事なことは〝良い子牛を生産して高値で買ってもらうこと〟やっぱり経営ですからね」
 夫婦で、親子で協力し合う農業人ファミリー。10年、20年、その先も、沖縄の和牛繁殖のけん引に期待したい。

 

 

 

JA担当者の声

中部地区
畜産振興センター

大石樹㊧  新地 駿㊨

 愛里さんとはうるま市で牛の登録業務を担当していた頃からのおつきあいです。当時から熱心で、共進会や品評会にはよく足を運んでいました。(大石樹)

 

旦那様の声

島袋康規さん

 とにかく牛が好き、ですね。牛の体調に細かい目配りをし、具合が悪そうなときは一生懸命看病しています。同じ目標に向かって、がんばります。

 

 

 

 

 

 

お父様の声

安慶名米昭さん

 和牛審査競技会での受賞は自信にもなるだろうが、プレッシャーにもなる。押しつぶされることなく頑張ってほしい。私も精一杯応援したい。

 

 

 

 

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