次代を担う 意気!域!農業人(はるんちゅ)

2017.01.01

バラはファッションと一緒で流行がある。

二人のバラ好きが最高のバラを咲かす。

農大の卒論テーマがバラだった。今や栽培歴20数年のベテラン。バラが縁で出会った女性と結婚し、今では色や形、香りもさまざまな14品種を栽培している。今号は、沖縄生まれの元気なバラ作りに励む、バラ好き農業人夫婦を紹介。

 

心地よい香りのバラ園

 やっと涼しくなった11月後半。沖縄でバラを栽培していると聞き付け、取材陣が向かったのは糸満市。ハウスや畑が並ぶ道を進むと、バラ園のアーチ門が現れた。

 最初に顔を出したのは、赤嶺幸代さん。小柄で老舗旅館の若女将のようなしっかり者の雰囲気。続いて現れた赤嶺欣さん(46歳)はがっしりとした体格で、頼もしく優しい雰囲気だ。

 「さっそくバラを見てみますか?」

 そう言って案内したハウスや、冷蔵庫から取り出した出荷前だというバラ花束からは華やかでうっとりするような香りが漂う。

 「たくさん咲いている感じではありませんが、蕾はすくすく元気に育ってますよ」

 よく見るとハウスには大きさの違うバラがあちこちに咲いている。収穫は毎日行い、出荷が週3回。今の時期は週3000本ほど出荷するが、最盛期の春先からは週6000本まで拡大。年間に14万本ほど出荷している。

 「バラのトゲに気をつけてください。私たちは何枚作業着に穴を空けたかわかりませんから(笑)」

 ハウス内を案内する欣さんが取材陣を気づかってくれた。

 

出会いのきっかけはバラ

植え付け直後のバラの苗

 県立農大で花卉専攻だった欣さんは、”バラってかっこいい “ と直感的にバラを卒論テーマに選んだ。沖縄ではあまり見たことが無かったため、憧れもあったようだ。

 熊本県の研修先では2か月間の実地研修に臨み、卒業後は神奈川県のバラ園で2年間住み込みで働いて技術を習得した。

 豊見城市で6・6アールから始めたバラ栽培は、28アールまでに拡大。バラ一筋、今や栽培歴20数年のベテランだ。

 実は、妻幸代さんとの出会いもバラが取り持ってくれた。

 もともと病院関係の仕事をしていた幸代さん。仕事に行き詰まった時、たまたま電話帳で欣さんのバラ園を見つけ、居ても立ってもいられず見学を申し込んだ。

 「もともとバラが好きでした。実際にバラ園を見学して仕事の疲れもなくなりました。欣さんもかっこ良かったし(笑)」

 バラと欣さんに癒された幸代さん。そこから二人三脚のバラ栽培が始まった。

 

バラ作りの難しさ

枝を曲げ、花の位置を調整することで収穫効率を上げる

 9月頃から翌6月頃まで毎日収穫できるのが魅力だと言うが、高品質なバラ生産に向けては大事なことがある。

 まず大事なのは病害虫対策。なかでもダニとスリップスの防除は必須で、葉の表だけでなく裏も薬剤を噴霧する。その手間が大変なのだそうだ。

 もう一つ大事な事は、連作障害の予防だ。

 「バラ一本でいきたいのですが、4、5年経って樹の寿命がきたら、クルクマやゴーヤーなどを栽培することで連作障害を防止しています」

 さらにピートモスやヤシガラなどを土壌に混ぜるなど工夫を重ねている赤嶺さん夫婦。生産するバラの品質が認められ、沖縄県花き品評会では欣さん、幸代さん2人が特別賞を何度か受賞した。

 「就農当時に先輩バラ農家の方々にお世話になった。わからないことは丁寧に教えてくれましたからね」

 と先人たちへの感謝も忘れない。

 

夫婦で咲かす最高のバラ

ハウスの前で赤嶺さん夫婦と宮城指導員

 バラは流行の動きが早いようで、毎年新品種が発表される。花屋も新品種だとPR効果が高いため、新品種は市場ニーズも高くなるそうだ。

 「まるでファッションと一緒ですね」

 毎年新品種を導入している赤嶺さん夫婦は、今年は「フェリシタル」というピンク系の品種を導入。気に入った品種がある場合、実際に県外の苗業者に視察に行くこともあるそうだ。

 夫婦で咲かす自慢のバラは、親戚や知人の結婚式だけでなく、自らの結婚式でもブーケとして使い、赤や白など色とりどりのバラで飾った。

 そう照れながら語る赤嶺さん夫婦に今後の目標を聞いた。

 「もらった方が笑顔になる、沖縄生まれの元気な美しいバラを作り続けたい」

 バラが結びつけてくれた夫婦の笑顔が明るく輝いた。

 

JA担当者の声

南部地区営農振興センター

農産部 花卉指導課

宮城豊

欣さんはバラの知識が豊富で、いつも最新の情報を勉強させてもらっています。幸代さんはいつもハウスや作業小屋を整理してキレイにしてます。私はそんなバラ園に行くのが楽しみです。

 

 

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