次代を担う 意気!域!農業人(はるんちゅ)東村・比嘉順一さん、昌樹さん

2019.06.01

 

 

 

100年企業を目指して。産地を盛り上げていく。

法人化の成功例を示し、『パインは儲かる』を体現したい。

 

これまではがむしゃらに休みなく頑張ってきた。栽培面積も生産も順調に伸びている。「経営も軌道に乗り始め、これからがスタート」と語る心熱き農業人は、自らの夢のため、そしてパインの村の発展に貢献するため奮闘中。

 

二人の息もぴったりだ

日本一のパイン村「東村」

 快適なドライブコースの中、木の間隠れに太平洋が見えてきた。東村を走る県道70号線沿いの東村中央公民館の壁面には「花と水とパインの村 東村 日本一のパイン村」の文字とパインアップルのイラストが描かれていた。そこから少し入ったところにあるJA東支店が待ち合わせ場所である。

 ほどなくトラックがやって来て、がっちりした体格の二人が降り立った。 

 農業生産法人東物産の専務・比嘉順一さん(47歳)と、同法人の比嘉昌樹さん(49歳)である。昌樹さんは順一さんの義弟(妹の夫)であり、パインアップル作りの相棒である。 二人とも日焼けした顔に目がきらきら輝いて、つられてこちらも笑顔になる。

 あいさつもそこそこに、茶目っ気たっぷりな順一さんから主に話を伺った。

 

生果用のゴールドバレル

農業生産法人で大規模農業

 若いころは県外で暮らし、10年ほど前に帰ってきた。時々、父のパインアップルづくりを手伝っていたものの、父が健在のときには、農業を継ぐ気はなかった。

 収穫時期に父親が亡くなり、さらに台風の接近が重なって、葬儀までのあれこれで身動きが取れない時があった。

 「JAの営農指導員の方が『収穫は任せて』と言ってくださって、家族一同、身に沁みました。恩を感じ、パインづくりを始めるきっかけとなりました」

 平成25年には、姉夫婦が立ち上げた農業生産法人東物産(代表取締役・比嘉和実さん)に参画し、パインアップルづくりにいっそう励んだ。現在、同法人では村内外に20ヘクタール(27カ所)のほ場を有し、9人を雇用している。

 法人化して早6年目、加工用のハワイ種(N67-10)を中心に、生果用としてビニールハウスと露地でボゴール(通称・スナックパイン)やゴールドバレルを育てている。今期は生果・加工合わせて250~300トンを見込む。

 「加工用パインは、作れば作っただけJAさんに引き取っていただけるので、作り過ぎを心配する必要がない、こんな有難いことはないと思っています。生果も手掛けるのは、作業や収入の平準化と安定化が目的で、ハウスものを4月ごろから出荷し、それから露地もの、加工用と、翌年の1月ごろまで続きます」

 これまで雇用は地元の年配の方が中心だったが、今年はベトナムから20~30代の女性を3人雇用した。JA沖縄中央会の「農業支援外国人受入事業」によるもので、すでに日本での農業経験があるため、身振り手振りで通じ、重要な戦力となっている。今夏には2人増えて5人になる予定だ。

 

農地を増やして生産拡大

広大な面積を誇るパインのほ場

 現場監督として、率先して日々の作業の先頭に立っているのが順一さんである。日々、義兄であり、東物産代表の和実さん(69歳)の過酷な指示を受けて立ち、作業の手順を考え、割り振りし、うまくやり遂げたときの充足感がなんとも言えないという。    

 「農業は前日に予定を立てていても、当日の天気の具合で変更せざるを得ないことがあり、臨機応変でないといけません。作業には、植え付け、生果用の花芽誘因処理、日焼け防止の袋がけ、定期的な施肥、除草、鳥獣害対策などたくさんあります」

 中でも植え付け作業は重労働となる。同法人では、JAおきなわグループの沖縄総合農産加工㈱が手掛ける業務委託に頼っており、とても助かっているという。 

 当時、順一さんが父から受け継いだほ場は3000坪弱(100アール)、これを6年間で約20倍に増やしたわけだが、ほ場確保の過程では辛い思いも味わった。

 「最初のうちは誰も本気にしてくれなくて、『どうせ続かない』と面と向かって言われたこともありました」

 過去に法人化が続かなかった事案も影響したのかもしれない。そのことがかえって比嘉さん義兄弟に強い使命感を抱かせることになった。就農当時の苦労を思い返しつつ、熱くパインアップル愛、郷土愛を語る。

 

指導員との息もぴったり!

パインアップルは東村の宝物

 「東村にはパインという自然の宝物があります。それを活かして、産地に勢いをつけたい。そのために法人としての成功事例を示さなければならない。夢は100年企業です」

 法人設立以来順調に生産量を伸ばし、昨年からは経営も軌道に乗り始めた。

 「これまでは、がむしゃらに休みなく働いてきました。今の規模を維持し、これからはほ場を循環させて生産量を伸ばしていきます。これからがスタートなんです」

 順一さんと昌樹さんが力を込める。

 「兄弟で営むメリットは、失敗も成功も一緒に歩んでいけるところです。弱音も言えるし、経営の細かいことも話せます」

 今後は6次産業化も手掛け、新たな雇用を生み、東村への恩返しとしたい。また、「パインは儲かる」を体現し、若い人にパイン農家の魅力を伝えたいとも意気込んでいる。

 二人の熱き想いは、きっとパインの里に新しい風を吹き込んでいくに違いない!

 

 

JA担当者の声

北部地区営農振興センター

パイン対策部 渡久山 涼

ご自分の意見をしっかり主張し、信念を持ってパインづくりに励んでいます。すべてにおいて手を抜かず、その姿は地域の模範です。

 

JAおきなわ広報誌:あじまぁ

地域で頑張る農家を紹介する「農業人(はるんちゅ)」はあじまぁに掲載されています。
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