次代を担う 意気!域!農業人(はるんちゅ)うるま市・高江篤史さん

2019.08.01

 

 

光、水、気温、すべてに目配りをして、品質を追求。

マンゴー園を情報収集と独自の工夫でこなす。

 

父・秀晴さんから手ほどきを受け、マンゴーづくりの魅力にはまった篤史さん。一年かけて手塩にかけたマンゴーが、今年もハウスいっぱいに赤々と色づくこの時期。出来映えに自信がみなぎる。6年目にしてすでに巧者の貫禄を持つ農業人!

 

おいしそうなマンゴーがたわわに実っていた

収穫間際のマンゴーハウス

 うるま市石川の石川川沿いからほど近く、車一台がやっと通れるほどの農道を進むと、真新しいビニールハウス2棟(各4連棟・5連棟)が現れた。

 今号の主人公・高江篤史(45歳)さんは、麦わら帽子を被って軽快に登場。取材陣をさっそくビニールハウス内に招き入れてくれた。

 袋掛けをされた、重たげなマンゴーが1つずつ丁寧に吊られ、ハウス内は出荷前の静かな華やぎを見せている。すっと伸びた誘因の紐や、きゅっと包まれた袋掛けマンゴーが行儀よく並んでいるさまは「整然」という表現がぴったりである。

 

 

 

収穫作業に大忙しだ

一人でこなすマンゴーづくり

 本土でずっと仕事をして、沖縄に帰ってくることになった。農業をやる、というのは頭になかったそうで、父・秀晴さん(73歳)のマンゴーづくりを手伝っているうちに興味が湧いた。マンゴー農家になるとは、本人にとっても思いがけない展開だったという。

 父・秀晴さんからうるま市塩屋にある200坪(7アール)のマンゴー園を譲り受けて、2013年に独立した。当初は、花が咲かなかった年もあり、失敗だらけだったそうだ。

 2016年に国と県の補助事業で、うるま市石川の地に700坪(23アール)のビニールハウスを建てた。

 「全て(30アール)を一人で見るのは大変です。自然の温度で育てると収穫時期が重なるので、ハウスにはボイラーを入れて、調整しています」

 着果期のボイラー使用で、6月の下旬から7月の下旬まで一ヶ月かけて収穫することができるようになった。

 今期のマンゴーはいつも以上によい出来で、約4100個の収穫を見込んでいる。

 

手塩にかけたこだわりのマンゴー

営農指導員と生育を確認

  篤史さんに栽培の工夫を尋ねると、

 「日焼け防止の袋掛けをぎりぎりまで遅らせました。ハーレー鉦が鳴る前(旧暦5月4日[ユッカヌヒー])に袋掛けする方が良いとされていますが、できるだけ色が乗った真っ赤なマンゴーにしたいので」

 マンゴーが日焼けをすると、糖度が乗らなくなるそうで、

 「失敗して何個もダメにしました。しかし、全体的に色乗りが良い仕上がりとなっていますよ」

 周りのアドバイスをうのみにすることなく、あえて何でも挑戦してみるという篤史さん、なかなかのチャレンジャーである。

 品質のよいマンゴーを栽培する上で、もっとも気を遣う作業が水管理だという。

 「水やりはスプリンクラーで行いますが、毎日天候を見ながら水量を調節します。一回にあげる量を少なくし、こまめに与えるようにしています。量が多いと表土に湿気がこもってしまうので」

 「手塩にかけて」という言葉がぴったりのマンゴーづくりである。

 7月に収穫が済むと、土に肥料を入れてねぎらい、夏の終わりにはまっすぐに出てくる芽を横に倒す作業に追われる。木の高さを低くするのは、

 「作業がしやすいのと、マンゴーにまんべんなく光が当たるようにするためです」

 花が咲く時から光を当てた方が果実の色乗りがよくなるそうで、マンゴーという作物の繊細さが伝わってくる。

 

 

丹精込めて栽培しています

一個一個の秀品率を上げたい

 篤史さんの情報収集はもっぱら、マンゴー部会の若手の面々。JA具志川支店の部会あり、中部地区の仲間あり、で情報源には事欠かない。

 「中部地区には年齢が僕より若いけれど、マンゴー歴では先輩という若手がたくさんいます。飲み会をしながら楽しく情報共有しています」

 袋掛けの袋に通気性をよくするための穴を開けるというのは、部会での情報収集の成果だ。

 「業者に穴あけまでお願いしています。品質の安定につながるということで、結果を楽しみにしています」

 2018年度の沖縄県マンゴーコンテストでは、栽培して5年未満の生産者が対象という新人賞を受賞した。

 「今年は?」と聞いてみると、

 「ぜひ出品したいですが、みんなもいいものを作っていますからね。でも、いずれは金賞を狙ってみたい」

 受賞への強い意欲が伺える。

 最後に、今後の目標を聞いてみた。

 「この規模を維持して、一個一個の秀品率を上げることです」

 静かに闘志を燃やす篤史さんの姿は、マンゴーづくりの自信に満ちていた。

 

 

JA担当者の声

中部地区営農振興センター

農産部 野菜果実指導課 本部 紹太郎

真面目で、作業がていねいで、肥培管理も徹底しています。マンゴー農家の仲間との交流も大切にしていて、情報収集のアンテナを常に張り巡らせています。チャレンジ精神も旺盛です。

 

JAおきなわ広報誌:あじまぁ

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