次代を担う 意気!域!農業人(はるんちゅ)

2016.01.01

 

家族の支えがあるから頑張れる。

手に職をつけたくて始めた農業に日々全力を注ぐ。

家庭を持ち、子どもが生まれ、手に職をつけたいとの思いから就農を決意。生まれ育った沖縄市池原は県内有数の菊の生産地で、栽培品目が菊類になるのも自然の成り行きだった。就農8年目、今号は大菊、小菊、スプレー菊の菊類栽培に取り組む、若き農業者を紹介。

 

お父さんの仕事は「農業」

沖縄市池原地区は夜景スポットとしても人気が高い

 ここは沖縄市池原。小菊で県の拠点産地にも認定されている県内でも有数の生産地だ。

 開花時期の調整に向け、電照が点灯する夜間は夜景スポットとしても人気が高い。

 沖縄自動車道を沖縄北ICで降り、国道329号線からさらに内陸部へ入ると、米軍基地のフェンスが見え隠れする中、辺り一面に平張りハウスが見えてきた。

 取材陣が到着すると、さっそく作業小屋に招き入れてくれたのは、眞榮城徹さん(35歳)だ。長年この地で花卉栽培に取り組んでいた伯父さんから約2300㎡(約700坪)の農地を借り、27歳で農業を始めた。

 「以前は派遣社員として働いていましたが、結婚して子どもが生まれ、いつか『お父さんの仕事は何』って子どもに聞かれたときに、自信を持って言える職業に就こうと思ったんです」

 徹さんが就農のきっかけを語ってくれた。

 サラリーマンの家庭に育った徹さんだが、周りには菊農家が多く、学生の頃から伯父さんのほ場での収穫に駆り出されていたこともあり、まるっきり素人というわけではなかった。

 

タイミング良く就農

愛用のトラクター

 「思い立ったが吉日とも言いましょうか、タイミング良く物事が決まったんです」

  就農したのが平成20年7月。当時、農地を借りるタイミングで、新規就農者への補助が受けられ、トラクターや菊選別機が導入できた。

  以来、冬春期は大菊・小菊・スプレー菊を生産。その後はオクラやスイートコーンなどと、年間を通して農業生産に取り組んでいる。

 今では、ほ場も約7000㎡(約2100坪)にまで拡大。

  「妻の手伝いを見越して規模拡大しましたが、下の子[冬奈ちゃん(1歳)]がちょうど保育園に入れなくて…」

  農家への営農支援に加え、子育て支援も課題だと茶目っ気たっぷりに笑った。

 

地域に支えられ日々成長

上が小菊、下が大菊

 沖縄市の菊栽培の歴史は古く、徹さんが所属する美里支店花卉生産部会では、管内の小学校の入学式にスタンド花を寄贈するなど地域貢献活動も活発だ。

 昨年まで、部会池原支部の支部長も務めていた徹さん。若手として、地域が寄せる期待も大きい。

 それでも成長途中の徹さんを心配してか、部会の先輩たちが頻繁にほ場に訪れ、いろいろ教えてくれるそうだ。

  「助言がとても役に立ちます。地域とのつながりを改めて感じていますね」

  応援してくれる周りの人たちの期待に応えたい、という気持ちが徹さんのモチベーションアップに繋がっているようだ。

 

 

 

 

家族で支え合うユイマール精神

成育をチェックする徹さんや亜紀さん、當間指導員

 収穫後は、ヒマワリやケイトウなども植え付けるほど研究熱心な徹さん。就農当初は、東日本大震災の影響で菊の価格が暴落したこともあったが、そんな苦労などなかったかのように笑顔が絶えない。

 農業に打ち込む徹さんに触発され、兄守さん(37歳)が4年前に就農。なんと姉長谷川亜紀さん(40歳)も今年就農宣言し、池原地区で、3人独自に農業への道を歩んでいる。

 「兄や姉は良きライバル。3人で切磋琢磨して成長していきたい」

 今では顔を合わせると農業の話ばかりだそう。ライバルとは言うものの、収穫が重なる時期にはお互いに手伝い合う。まさにユイマール精神だ。

 「目標は現在の規模での安定収入。そのためには、一つひとつの手順をしっかりこなすことが大事」

 と真剣な表情で言い切る。

 4月に小学校に上がった息子の大昊(7歳)くんも、生長したスイートコーンを自らもぎ取りほお張る。その笑顔や「美味しい」という言葉に、徹さんも農業を選択して間違いなかったと確信するそうだ。

 「今では自信を持って農業が仕事だと言えますね」

 地域や家族に支えられた徹さんのステキな笑顔がますます輝いた。

 

姉の声

長谷川亜紀さん

すごく研究熱心で、密かに「博士」と呼んでいます。頑張り屋で、夜中でも電照の下で手入れをしています。家族力を合わせてがんばっていきたい。

 

 

JA担当者の声

中部地区営農振興センター営農指導員

當間憲

歳も近いし、兄貴のような存在です。地域の先輩方の信頼も厚く、部会の役員として、部会員のパイプ役を果たしてくれました。一緒に成長していきたいです。

 

 

 

JAおきなわ広報誌:あじまぁ

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