次代を担う 意気!域!農業人(はるんちゅ)

2017.07.01

 

 

夢は大きく「今帰仁スイカ」を日本一に。

いつか「2果取り」に挑戦し、もっと全国へ届けたい。

農業の厳しさは両親の後姿を見て教わった。尊敬していた先輩に導かれ、良き伴侶の支えを味方に挑戦を始めたスイカ作り。産地の思いを受け継ぎ、負けん気で日々奮闘を重ねる、就農2年目の若き二代目農業人を紹介。

 

スイカ1本の栽培に挑戦

梅雨の晴れ間が広がる6月初旬、亜熱帯の原生林が広がる本島北部の道のりを抜けると、穏やかな純農村地帯、今帰仁村今泊にたどり着いた。冬春期からスイカの出荷が始まる今帰仁村は、「日本一早いスイカ」として名を馳せ、沖縄のスイカ生産をけん引してきた。

 集落内の国道から一本の脇道を少し進むと、立派なビニールハウス群に到着。やがて到着したトラックから仲睦まじげに降りてきたのは、今号の農業人、上間翔さん(30歳)と奥さんの泉穂さん(32歳)だ。

 早速ハウスの中へ案内してくれた翔さんが自慢気に口を開いた。

 「大きいでしょ。このスイカは10キロくらいありますよ」

 大きなスイカを愛でるように触れる表情からは笑顔がこぼれ、注ぎ込む愛情が見て取れた。

 スイカを作りはじめて30年の父豊さん(58歳)と母佐恵子さん(55歳)、繁忙期には手伝ってもらうという泉穂さんとともに、今帰仁でも珍しいスイカ一本の単作経営に情熱を注いでいる。

 

 

 

背中を押してくれたもの

「以前は父の後継ぎなんて全く考えてなかったです」

 そんな翔さんは県外の大学を卒業後、教員を目指すために沖縄に戻った。県立高校で臨時教員として勤めていたある日、地元の先輩から声をかけられたそうだ。

〝一緒に今帰仁でスイカを作らないか〟声をかけてきたのは、今帰仁支店ハウススイカ生産部会部会長の豊里友作さん。学生時代に明け暮れていたバスケットの先輩でもあり、当時32歳という若さで部会をまとめていたその姿は、翔さんの目に輝いて映っていたそうだ。

 「教員の道も少し心残りでしたが、尊敬する友作さんの誘いに心を決めました。泉穂との結婚を真剣に意識していた時期なので、本気で考えましたね」

 翔さんが決断について話してくれた。

 泉穂さんは神奈川県出身。沖縄が好きで移住してまもなく、翔さんと出会った。結婚を目前に農家への転身を宣言されて驚いたそうだが、今では収穫時の作業も二人で仲良く汗を流す。

 「応援していますよ。毎朝5時に起きて朝ごはんを作っています」と泉穂さん。都会育ちの泉穂さんが翔さんに寄り添う様子は、まだ何とも初々しい。

 一方、スイカ一本で翔さんを育ててきた父豊さんと母佐恵子さん。「農業は生半可にできないので、相当の『覚悟』を持ちなさいと強く言いましたね」

 口を揃えた二人は、厳しい言葉に親心を込め、翔さんの背中を押したそうだ。

 

病害をいかに最小限に抑えるか

670坪(22アール)の面積でスイカ栽培に取り組む翔さん。

 「う~ん、うまくいってるとは言えないですね」

 曇った表情でつぶやいたその原因は、翔さんのハウス内で去年発生した病害「灰白色斑紋病」だ。発病すると葉や枝に奇形が生じ、枯れてしまう。

 「これといって効果的な対策が無いんです。どうすれば被害を最小限に抑えられるかで精いっぱいなんです」

 病害を媒介する「アザミウマ」の防除や、病害に強い品種の検討、土壌改善の情報収集など、被害軽減に向け奮闘を重ねる。

 部会の活動にも精力的な翔さん。県内外から多くの来場者が訪れる地域イベントでは、スイカの無料試食を来場者にすすめ、産地のPR活動にも熱心に励んでいる。

 

今帰仁のスイカで一番になりたい

翔さんが取材の合間に収穫したばかりのスイカを切り分けてくれた。

 瑞々しく甘いのは勿論だが、シャキシャキとした食感も楽しく、格別の味わいだった。

 「いつか『切り戻し2果取り』に挑戦したいです。出荷量日本一の熊本で優良農家に話しを聞いたんです」

 通常は一つの株から一つのスイカを収穫して終わるが、「切り戻し2果取り」では収穫後の株を切り、枝を出し直して再度着果させる。一つの株から2回の収穫ができ、生産効率は良いが、強い根張りが必要で難易度は高い。

 目を輝かせる翔さんに目標を聞いてみた。

 「味でも量でも今帰仁スイカを日本一にしたいです。そのためには、自分が部会を引っ張るくらい腕を磨かないとね」

 両親や先輩から受け継ぐ産地の思い、支えてくれる泉穂さんを味方にした翔さんの覚悟。負けん気の農業人が作るスイカが、大きく艶やかに輝いていた。

 

ご両親の声

上間  豊さん

  佐恵子さん

スイカ作りは大変で、並々ならぬ覚悟が必要です。「教える」ではなく「一緒にやる」ことで経験を伝えていきたいです。やる気も体力も十分なので期待しています。

 

 

JA担当者の声

 

北部地区営農振興センター

島袋 嗣也 

年が一緒ということもあり、挑戦し続ける姿に刺激を受けています。県内随一の「今帰仁スイカ」を引っ張って欲しいです。私も一緒に頑張っていきます。

 

 

 

JAおきなわ広報誌:あじまぁ

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