次代を担う 意気!域!農業人(はるんちゅ)南風原町・金城盛幸さん

2018.03.01

こだわり抜いた『つかざん完熟カボチャ』を全国に

市場からの高い評価と信頼。産地が築いたブランドを守り続けたい。

宅地開発が進む南風原町津嘉山。限られた農地を効率よく活用するため、徹底した肥培管理で〝2果取り〟を実現。品質にも大きさにもこだわり、反収は部会の中でも平均超え。「目標は反収2トン以上です」と、沖縄を代表するブランドカボチャに熱を注ぐ農業人を紹介。

 

住宅地の中にあるカボチャ畑

防除と風よけのためのトンネルハウス

 那覇市国場から南風原町に入り津嘉山地区へ。近年、宅地化が急速に進み、真新しい住宅やアパート、商業施設が軒を連ねている。JA津嘉山支店集出荷場近くの脇道に入ると、すぐにカボチャのトンネルハウスが現れた。ほ場の目の前にはJAファーマーズマーケット「くがに市場」と那覇空港自動車道が見え、車の走行音が絶えず聞こえている。
 素人目にも分かる、世 話の行き届いたカボチャ畑を前に、今号の農業人、金城盛幸さん(43歳)が声をかけてくれた。
 「寒いですね、カボチャはハウスの中で暖かいですけどね」と、盛幸さん。
 取材陣がトンネルハウスの中に手を入れてみると、人肌並みに暖かかった。
 「父 親(盛   昇さん77歳)の跡を継いで、農業を始めて13年になります。冬場はカボチャ、夏場はマンゴーです。最初は1500坪くらいでしたが、今期までに2550坪まで増やしました」
 宅地開発が進む津嘉山地区では、農地を確保するのはそう簡単ではなく、盛幸さんのカボチャ畑は5か所に分散しているそうだ。

 

収穫の目安は「1200度」

若い株は繊細なので注意が必要

  津嘉山地区では、県外産カボチャの端境期である2月から5月を出荷目標に、他産地との競合を避けている。定植は11月から1月まで段階的に行い、収穫は2月下旬から5月末まで続く。
 「一般的にカボチャは、着果(交配)後、積算温度が1000度(平均気温20度の日が続けば50日)から1100度で熟し、その時点で収穫します。でも『つかざん完熟カボチャ』は、積算温度1200度まで収穫を待つんです。そうすると、カボチャのでんぷん含有量が多くなり、甘みが増してほくほくとした食感になるんです」
 通常は積算温度1200度まで待つと、先に樹が疲れ、葉も枯れてしまうそうだ。その課題を高い栽培技術でクリアしていることが、『つかざん完熟カボチャ』のブランドを守っている。
 盛幸さんの畑の周囲には、一面にネットが張り巡らされており、さらには4メートルの金属パイプをいくつも使い、畝をトンネル状に覆うように簡易的なハウスを設置している。露地ながら病害虫防除や風よけに一役買っているのだという。『つかざん完熟カボチャ』を生産する部会として取り組んでいる栽培管理で、産地としての団結力が垣間見えた。
 盛幸さんに作業で気をつかうことを聞いてみた。
 「栄養分を集中させるための脇芽取りと、着果時(交配)のタイミングですね。雨が降ると着果がうまくいかないので、雨の多いこの時期は作業の見極めも大切なんです」
 着果を見届けると、カボチャと土との間に透明プラスチックトレイを敷く。カボチャの底が白くなるのを防ぎ、色乗りを良くするための作業だ。『つかざん完熟カボチャ』は味はもちろん、「見た目」も大事なのである。
 「反収が高いのも津嘉山のカボチャの特徴です。高品質は勿論、一つの蔓からカボチャを2個収穫する〝2果取り〟も理由の一つ。この辺のほ場は規模が限られているので、そういう技術が必要なんです」
 一般的にカボチャは、蔓1本から1果を収穫することで、栄養分を1果に集中させる。しかし盛幸さんは、徹底した肥培管理と高い技術で、蔓1本から高品質なカボチャを2果収穫している。

 

「緑のダイヤ」

プラスチックのトレイを座布団に

 カボチャは県内で5市町村が拠点産地に認定されている。中でも『つかざん完熟カボチャ』は高い評価を得ており、そのほとんどは県外に出荷される。主に栽培されている品種は「えびす」。関東都心の高級料亭やレストランで多く消費されるほど人気は高い。甘く濃い緑色の『つかざん完熟カボチャ』は、さながら「緑のダイヤ」と呼ばれるに相応しい。
 販売先からは「もっと生産量を増やしてほしい」と要望があり、その信頼と期待に応えるため、産地としての努力は妥協できない。

 

 

 

 

みんなでブランドを築いてきた

金城指導員と生育状況の確認

 現在、JA津嘉山支店野菜生産部会に所属するカボチャ生産者は21人で、全体で年間約130トンを生産している。
 部会では植え付け前から月に一度の講習会を開催し、収穫前には見た目や大きさなどの目揃えを行うなど、部会一体となって質の確保に努めている。結束力の固さが、『つかざん完熟カボチャ』を築き上げてきた。
 周囲では宅地化が進む中、限られた農地を有効に活用し、反収を増やしたいと考えている盛幸さん。
 「現在1・8トンの反収を、2トン以上にするのが目標です」と、盛幸さん。
 部会の平均反収が1・4トンというのだから、その技術は既に卓越され、目標は目の前だ。
 「先輩方が苦労して築き上げた『つかざん完熟カボチャ』。私もその一員として、ブランドを守り続けていきたいですね」
 盛幸さんのもの静かな言葉に、一大産地の誇りと責任がにじみ出ていた。

 

 

JA担当者の声

南部地区
営農振興センター

金城 亮一

きめ細やかな栽培技術を追求し、肥培管理において一切妥協をしない方です。青壮年部等の活動にも積極的に参加され、地元の学校での農業・食育等の指導にも協力していただいています。

 

JAおきなわ広報誌:あじまぁ

地域で頑張る農家を紹介する「農業人(はるんちゅ)」はあじまぁに掲載されています。
「あじまぁ」は組合員、地域とJAをむすぶコミュニティーマガジンです。各JA支店・JA関連施設(ファーマーズマーケット、Aコープ、JA-SS)よりお持ち帰りいただけます。

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