次代を担う 意気!域!農業人(はるんちゅ)与那国町・松原永政さん

2019.02.01

次代をう 意気!域!業人

与那国町 

松原 永政(まつばら えいせい)さん

 

農業の楽しさを教えてくれた人に感謝しています

始めて4年目。今年は11町歩を収穫、まだまだ増産は進む。

 

40代で就農、不安はあったが周りの応援のおかげでここまで来れた。ストレスで悩んでいた頃がうそのようにパワフルな行動力。与那国島の強い風をものともせず、着実な増産!島のこと、自らのこと、大きな夢を育む熱血農業人。

 

JA与那国製糖工場に搬入されたサトウキビの山

日本最西端、国境の島のサトウキビ

 12月中旬、飛行機は那覇空港から石垣空港を経て、さらに西へ、ここは台湾の隣り、日本最西端、国境の島、与那国島に着いた。空港の正面には、島を東西に走る宇良部岳、久部良岳の稜線がすぐ近くに迫っていた。島の幹線道路である県道216号沿いのJAおきなわ与那国製糖工場からは、煙突から操業が分かる白い煙が立ち上り、黒糖の甘い香りが漂う。

 島のあちこちに収穫間際の3メートルはあろうかというサトウキビ畑が広がる。  

 祖納集落近くの野武原にあるサトウキビ畑では、ハーベスターが轟音を立てて、収穫の真っ最中であった。3、4人の男性が作業を見守っており、その中でもとりわけ屈強そうな男性が今号の主人公・松原永政さん(45歳)であった。

 

サトウキビの増産に機械化は欠かせない

ハートに火をつけたサトウキビ栽培

 「ここは、規模拡大を計画していたところ、島内で遊休化していた農地の紹介を受けて今期から挑戦しています」

 この地の5町歩(約5ヘクタール)のほ場を含め、現在、島のあちこちに計17町歩(約17ヘクタール)の畑で栽培し、「石を投げたら永政の畑に当たる」と言われるほど、パワフルにサトウキビを作っている。

 代々のサトウキビ農家かと思いきや、意外にも就農して4年目とのこと。

 「建設業に20年ほど従事していましたが、体調を崩して続けられなくなりました。その時、JA職員の勧めがあって、サトウキビ栽培の楽しさを教えてもらいました。僕のハートに火がついた瞬間ですね」

 農業は日々勉強で、一日一日、サトウキビの変化が見えるので楽しいという。何よりストレスがないのが一番なのだそうだ。

 栽培面積も毎年拡大している。今年は11町歩(約11ヘクタール)を収穫するが、来年は今年の夏植えの5町歩余と併せて17町歩の予定である。これは与那国島はもとより県内でもトップクラスの規模とのこと。

 

援農隊の石栗さんと

多くの方に支えられて

 植え付けは妻・百重さん(44歳)と百重さんの姉夫婦の4人でおこない、収穫は請け負いを活用。肥培管理は一人で手掛ける。機械を使えばさらに効率的に作業ができるので、ブルトラ管理機や除草を管理する農機などを導入している。

 「除草剤の散布は、高培土(高く盛り土を行う)をする前など合計2度程度に抑えたい。サトウキビの生長を止める要因にもなると聞いているし、使用する人間の身体にもよくない。使用を抑えれば、コスト軽減にもつながります」

 去年430トンを出荷した永政さんの目標は1000トン。植え付け面積で考えると決して不可能な数字ではない。

 「1000トンは与那国島で誰もなし遂げていないので、チャレンジするしかない!」

 永政さんにとって幸運だったのは、お手本になる先輩が身近にいたことである。

 「外間守和さん(元JA職員)と前外間功さん(与那国町さとうきび生産組合長)です。 外間さんには徹底したキビ管理を教えていただき、前外間さんには機械化など技術的なことの相談に乗ってもらっていました」

 また、多くの面積で栽培する永政さんにとって、収穫時には、援農隊の助けが欠かせない。「人間ハーベスター」の異名を持つ援農隊の石栗周坪さんは、手刈りで1日に平均4トン、シーズン通して450トンを収穫するそうだ。平均的な量と比べると2倍にも及ぶ。永政さんは「彼に任せれば大丈夫」と全幅の信頼を寄せている。

 サトウキビ作りは経験もない、知識もない中で始めることに不安があったが、やるしかないと腹をくくったという永政さん。

 「毎日畑を回って、キビの様子を見て必要な作業をします。去年の生育状況などをメモに控えていますが、毎年同じということはないし、畑によってまちまちなので大事なのは畑に立ち寄って確認することです」

 決して楽な道も、近道もないことをこともなげに語る。

 

ひとつひとつの作業をしっかり行っています

島の人情に応えて増産に挑む

 永政さんは、組織活動にも積極的に臨んでいる。与那国町さとうきび生産組合の役員として2期目を務め、昨年からはJAおきなわ与那国支店の総代に就任した。

 「総代は、地域の農家の声をJAの役員に直接伝える機会がある、というのが良いですね」

 活動を続けるうちにやりたいことも見えてきた。「若い人たちが農業を始めやすい環境を整えたい」そうだ。

 「自分自身が新規就農で、必死に農機を揃え、資金面で一番苦労したことを伝えたい。与那国のサトウキビ生産を維持していくためにも、若い人たちが就農しやすい環境づくりをお手伝いしたい」

 その思いの源には

 「この島には人情がある。この島に生まれてよかった」

 永政さんは島の人情に応えるべく、だれも成し遂げなかった目標を定め、島の基幹産業サトウキビの増産に今日も挑み続ける。

 

 

JA担当者の声

与那国支店
 宮平 忠

サトウキビ作りに熱中していて、意識もとても高く、逆にこちらがはっぱをかけられています。地元の先輩でもあり、JAとして精一杯サポートします。

 

JAおきなわ広報誌:あじまぁ

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